南風をはらむ帆のような“BowSquare(ボウスクエア)”という独特なフォルム。その優美な曲面は、外見上の美しさだけでなく、風の流れや日照条件などの影響を低減し、近隣の既存建築物と正面から向かい合わないようにすることで、互いのプライバシーを守り周囲への圧迫感を抑えます。また、このフォルムによって、公開空地を敷地外周に豊富に設けること、建物の中心に光と風を誘うパティオ(中庭)をデザインすること、住戸の約76%を南東・南西向きとすることを可能にしました。
美しい街並みに調和するよう、デザインは白を基調とし、コーナーには床から天井まで続くカーテンウォールが採用されています。南から降りそそぐ太陽の光、大きなガラス面に映し出される空の表情が、天へ伸びる垂直ラインに生命力を与え、シンボリックな力強さを生み出しています。上層部に向かうにつれ、ルーバーはガラス手すりへと変化し、建物が大空へ少しずつ溶け込んでゆくかのように演出。最頂部を縁取るアクセントデザインは、夜にはライトアップされ、遠景におけるシンボルとして視線を集めます。基壇部は、上質な素材、手の込んだ細工を施したデザイン柱やステンドグラスなど、細部へのこだわりが超高層建築の威圧感を抑え、住み継がれる邸宅の顔にふさわしい重厚感を深めています。